トラムセットの効果を徹底解説

 

トラムセットには高い鎮痛効果があり、特に坐骨神経痛やヘルニア、慢性腰痛などに効果が認められています。ただ、副作用などもあるので、「どんな症状に効果があるのか」をしっかり押さえておく必要があります。

 

ここでは、トラムセットの効果について、さまざまな側面から解説を行います。

 

目次

 

トラムセットの作用の仕組みについて

 

トラムセットは

 

  1. トラマドール
  2. アセトアミノフェン

 

↑の2つの医薬品の配合錠となっています。

 

大まかに書くと、

 

薬品名

効果のある痛み

項目名3

トラマドール

主に神経痛

オピオイドμ受容体の活性化、およびセロトニン・ノルアドレナリンを増やすことにより神経が圧迫されることで起こる「神経痛」などを抑制する

アセトアミノフェン

ケガ・炎症の痛み

詳しい作用機序は不明だが、脳に作用して鎮痛する。ケガや炎症などの痛みを抑制する

 

 

それぞれ↑のような作用を持っており、それが合わせることによって強い鎮痛効果を発揮します。

 

→トラムセット配合錠効果の作用機序

 

詳しい作用機序については、↑をご覧ください。

 

どんな症状にトラムセットは効果があるのか?

※きちんとした診断については医師の診察が必要です。

基本的には、トラムセットの効果は「トラマドール」の方が強く発揮されます。オピオイド受容体、およびセロトニン・ノルアドレナリンへの作用により、以下の症状に効果が発揮されます。

 

帯状疱疹痛・帯状疱疹後神経痛

 

帯状疱疹痛・帯状疱疹後神経痛は、「帯状疱疹」中の痛みや、治った後に長引く痛みのことです。

 

まず帯状疱疹についてですが、子供のころにかかった水ぼうそうのウイルスが原因となります。これらのウイルスが神経の付け根に残っていて、ストレスが強くなったり、体調が悪化するなど免疫機能が落ちるタイミングで活性化し、帯状疱疹として発症することになります。3~5日程度で皮膚の発疹として現れ、水ぶくれになります。

 

発疹などの皮膚炎症状が治ったとしても、神経が痛めつけられているため、痛みだけが残ります。この痛みはかなり長引くことがあり、短くても1カ月程度、人によっては数か月~半年以上にわたって痛み続けることがあります。痛みの強さもかなりあり、眠れないほど痛む場合もあるので、こじらせてしまうとかなりつらい思いをします。

 

「痛み」ということで、「ロキソニンなどの痛み止めが役立つのでは」と考える人もいるかもしれません。しかし、帯状疱疹後神経痛は「神経痛」という言葉が入っていることからもわかる通り、炎症などの痛みと異なるため、ロキソニンなどの痛み止めでは効果が出にくいのが実際のところです。そこで使われるのがトラムセットとなります。

 

トラムセットはオピオイド受容体の活性化やセロトニン・ノルアドレナリンの増加によって「神経痛」に作用するため、痛みを軽減することにつながります。また、帯状疱疹を発症中は炎症による痛みもあるので、トラムセットに含まれるアセトアミノフェンが鎮痛作用を発揮します。そういった意味では、帯状疱疹後神経痛の痛みに関してはトラムセットが最適な医薬品の一つと言えるのです。

 

ただここで注意したいのが、「トラムセットはあくまで対症療法」ということです。痛みの原因はウイルスですが、トラムセットではウイルスを叩くことはできません。できるだけ早くウイルスを叩き早期治療することで、帯状疱疹後神経痛の期間を短くできることがわかっています。なので、「帯状疱疹かも」と思ったら、すぐに治療することが重要です。

 

帯状疱疹ウイルスの治療には、「バルトレックス」などの抗ウイルス治療薬を使う必要があります。すぐに帯状疱疹と診断されれば早期治療は可能ですが、帯状疱疹は他の症状と間違いやすいので、病名が特定されるのに時間がかかる傾向があります。皮膚炎や痛みの範囲が片側だけのときは帯状疱疹の可能性が高いので、そんなときはまず皮膚科の診察を受けるようにしましょう。

 

繰り返しになりますが、まず大切なのは「帯状疱疹が疑われるときは、できるだけ早くバルトレックスなどで治療すること」です。そうすれば、帯状疱疹後神経痛の期間を短くすることができます。それでも痛い期間は出てくるかもしれないので、そのときはトラムセットなどで痛みを抑えることになります。

 

椎間板ヘルニア(坐骨神経痛)

 

よく勘違いされがちですが、まず「坐骨神経痛」は病名ではありません。「坐骨神経」と呼ばれる神経が圧迫や刺激を受けることで、腰やおしり、太ももの後ろ側などに痛みや痺れが起こることを指しています。なので、坐骨神経痛が起こる原因は1つではありません。

 

  1. 腰椎椎間板ヘルニア
  2.  

    腰椎と腰椎の間にある「椎間板(クッションのようなもの)」がつぶれることによって、腰椎にある神経を圧迫する。

     

  3. 脊柱管狭窄症
  4.  

    脊椎の中にある脊椎刊という「神経を通す穴」が変形して、中にある神経を圧迫する。

     

  5. 腰椎分離すべり症
  6.  

    腰椎が変形して前方にすべってしまい、神経を圧迫する。

     

 

↑の病気にかかると、坐骨神経痛が発生する可能性があります。

 

いずれも神経が圧迫される「神経痛」のため、市販の鎮痛剤だとあまり効果が出ないことがあります。そこで利用するのがトラムセットというわけです。

 

ただし、トラムセットは単に神経が圧迫されている痛みを取る・減らすというだけなので、根本的な治療にはなりません。ラクになるためには延々とトラムセットを服用する必要があります。トラムセットには長期服用の依存性や離脱症状のリスクがあるので、いつまでも服用しつづけるのは危険です。

 

なので、ヘルニアの原因を取るためには根本的な治療が必須です。姿勢を正したり、コルセットを付けるなどしてヘルニアの悪化を防ぐ、あるいは手術を選んで原因を取り除くなど、さまざまな方法が考えられます。

 

また、単に痛みを取ることに関しても、トラムセットだけでなく「リリカ」などの類似薬を使うとか、「神経ブロック」といった痛み対策を行うなどさまざまな選択肢があります。しっかりと医師と相談し、ただトラムセットを服用して済ませるのではなく、リハビリや運動療法などさまざまな治療方法を模索していく必要があるでしょう。

 

慢性腰痛症

 

慢性腰痛症とは「腰の痛みが3カ月以上続く腰痛全般」を指した言葉です。なので、原因も症状もさまざまです。

 

  1. 椎間板ヘルニアや変形性腰椎症、骨粗しょう症などの「腰椎障害」
  2. 可能性脊椎炎や脊椎カリエスなどの「腰椎の病気」
  3. ストレスや不安からくる「心因性腰痛」
  4. 内蔵のトラブルからくる「内蔵の病気」

 

ざっくり原因を上げてもこれだけあります。これ以外にも原因は考えられるので、ひと口に慢性腰痛症といっても原因は実に多岐にわたるのです。

 

どれも「痛みが出る」という点は同じですから、確かにトラムセットは痛みの改善には役立ちます。しかし、トラムセットが痛みに聞いたとしても、原因が分からない限りは、ずっとトラムセットを服用しなければいけないことになります。依存性・耐性形成のリスクから考えても、トラムセットの長期服用はできれば避けたいところです。

 

なので、3カ月以上腰痛が続くような場合は、必ず医師の診察を受け、できるかぎり原因を特定するべきでしょう。もちろん、なかなか原因がわからず長引くこともありますが、諦めてしまわないことが大切です。

 

また、姿勢矯正や生活習慣の見直し、運動など、腰椎の改善に働くことは積極的に取り組むべきでしょう。特にデスクワークが多い場合は姿勢が悪くなりがちで、なおかつ運動不足気味となるため筋力も低下します。そうなると腰痛の悪化につながるのは明白なので、自分にできる努力はできるだけ行っていくべきです。

 

線維筋痛症

 

「線維筋痛症」は今増えてきている痛み症状の一つで、全身に痛みを感じる病気となります。筋肉や骨、神経の検査をしても原因がわからないことから、「原因不明の痛み」となって出るのが特徴です。主に中高年の女性に多いですが、若い世代でも見られ、日本人の100人に2人がかかっているとも言われています。

 

線維筋痛症の痛みは、「ケガをして炎症を起こした痛み」でもなければ、「神経が圧迫されて起こる痛み」でもありません。なので、中枢神経が直接刺激されて起こる痛みと考えられています。なので、市販の痛み止めなどはなかなか効果がでません。一方、トラムセットはオピオイド受容体や神経伝達物質などに関わる医薬品なので、線維筋痛症の「中枢神経で感じる痛み」に効果があるとされており、頻繁に処方されます。

 

線維筋痛症の原因ははっきりとわかっていませんが、心因性の痛みが原因ではないかと考えられており、ウォーキング、水泳、エアロビクス、ヨガなどの運動療法、そして心理療法が中心の治療となります。マッサージや指圧などの代替療法も効果が出ることがあるようです。

 

なので、ただトラムセットに頼るのではなく、さまざまな治療法を行って原因そのものをなくすようにすることが大切です。

 

リウマチ

 

リウマチとは、体の免疫機能の異常で関節・骨、筋肉などを「外敵」と判断してしまい、攻撃することによって起こると言われています。自己免疫疾患と呼ばれることもあります。

 

リウマチにかかると、関節や骨、腱・筋肉などに痛みが起こります。中でも多いのが関節周辺に症状が現れる「関節リウマチ」で、リウマチにかかっている人の中でも一番多い症状です。最初は発熱や倦怠感、朝起きると体が固まっているなどの症状が出てきますが、だんだんと関節の腫れ、痛みに移行します。

 

リウマチの痛みは、ここまで扱ってきたような「神経痛」ではなく、免疫機能の攻撃などによる痛みがメインなので、ロキソニンなどの解熱・鎮痛剤も効果を発揮します。なかでも、「セレコックス」という解熱・鎮痛剤はリウマチ治療に適しており、関節リウマチの治療でよく選択される医薬品です。

 

ただ、セレコックスやロキソニンによる解熱・鎮痛剤が効果を発揮しないこともあり、トラムセットが鎮痛剤として選ばれることもあります。鎮痛作用が強いので、個人差はありますが「トラムセットのほうが痛みが取れる」と言う人もいるようです。

 

ただ、何度も繰り返しになりますが、トラムセットは原因を治療する医薬品ではありません。リウマチには「リウマトレックス」などの治療薬があるので、これらの医薬品を使って原因自体の治療をしていくことが重要となります。

 

抜歯後の疼痛・痛み

 

個人差はありますが、抜歯をすると強い痛みが現れることがあります。解熱・鎮痛剤で痛みどめを行うことも多いですが、奥の方に埋まった「親知らず」など、骨を削る必要がある抜歯の場合は、トラムセットが鎮痛剤として選ばれることがあります。

 

抜歯をすると歯の神経を傷つけ、なおかつ炎症が起こるため、「神経痛」と「ケガの痛み」の両方が起こることになります。なので、トラマドール(神経痛)とアセトアミノフェン(ケガ・炎症の痛み)の2つが合わさったトラムセットは都合がよいのです。

 

また、抜歯後の痛みは徐々に改善されていくため、それほど長期服用にはなりません。なので、トラムセットを使って抜歯後の痛みを治し、痛みが引いたら服用をやめるといった使い方ができます。

 

トラムセットが効かない・使わない症状

※きちんとした診断については医師の診察が必要です。

 

四十肩・五十肩・六十肩

 

四十肩・五十肩・六十肩は俗称であって、病名としては正式ではありません。病名を付けるとすれば、「肩関節周囲炎」といったところです。症状としては、異様に肩が凝ったり、肩がいたい、腕が上がらないなどが挙げられます。

 

四十肩、五十肩の原因はいろいろですが、ほとんどの場合は「棘下筋」に痛みが出ます。筋肉が固まっているので、ほぐすことで症状が良くなることが多いです。マッサージの効果が高く、健康器具やテニスボールなどでほぐすのがよいでしょう。

 

痛みとしては「炎症」によるもので、神経痛に効果の大きいトラムセットではあまり効かないことが多いようです。トラムセットには炎症の痛みに効くアセトアミノフェンが入っていますが、抗炎症と言う意味ではロキソニンやボルタレンなどの解熱・鎮痛剤の方が効果が大きいです。

 

解熱・鎮痛剤で痛みを改善するのはよいとしても、やはり原因そのものの治療にはならないので、すでに書いたようにマッサージなどを効果的に取り入れて根本治療に取り組むことが重要です。

 

胃潰瘍・喉の痛み、生理痛など

 

胃潰瘍が起こると胃の痛みが発生するので、トラムセットで対策できるのでは、と考えるかもしれません。しかし、胃潰瘍の痛みは「炎症」の痛みとなり、トラムセットの「神経痛」に関わる効果は期待できません。抗炎症・鎮痛薬のアセトアミノフェンも入っていますが、胃潰瘍の痛みを抑えられるほどの力は期待できないでしょう。

 

また、トラムセットにはそもそも「胃腸障害」の副作用があり、それが原因で胃潰瘍に発展することもありえます。つまり、胃潰瘍の痛みのためにトラムセットを使うと、胃潰瘍が悪化する可能性があるのです。

 

→トラムセット配合錠副作用【吐き気や眠気などの症状アリ】

 

同じく、喉の痛みや生理痛などの痛みも、基本的には「解熱・鎮痛剤」が選ばれます。痛み対策としてトラムセットが選ばれることは考えにくいです。

 

歯痛

 

まず、ひと口に「歯痛」といっても、虫歯などの歯痛にトラムセットを使うことは通常ありません。歯の治療をして治せる痛みであれば、葉の治療の方を優先します。

 

歯痛でトラムセットを使うことがあるのは、歯自体には異常がなく、歯の周りの末梢神経でなんらかの神経痛を発症しているケースです。この場合、トラムセットを処方されることはありえます。短期間トラムセットを服用していると、「神経の感じやすさ」が下がって薬をやめても痛くなくなることも多いので、まずは指示通りにトラムセットを服用しましょう。

 

トラムセットの飲み方や用法・用量

 

どんな医薬品でも、服用タイミング・服用量はしっかり守らないといけません。それはトラムセットでも同じです。用法・用量が決まっているので、きちんと守って服用していくことが大事です。

 

ここでは、トラムセットの用法・用量や服用期間などの疑問について解説します。

 

服用タイミング・服用量はどのくらい?

 

トラムセットの服用量・服用タイミングは以下の通りです。

 

症状

服用量

服用タイミング

慢性疼痛(帯状疱疹後神経痛やヘルニアなど)

1回1錠~2錠(症状に応じて増減)

1日4回

抜歯後の痛み

1回2錠

1日4回

 

まず慢性疼痛(帯状疱疹やヘルニアなどの痛み)に関しては、1回1錠の服用から開始します。副作用や効果のバランスを取りながら増減することになっていますが、それでも1日8錠(1回2錠以下)が上限となっており、それ以上増やすことはできません。

 

抜歯後の痛みに関しては、初めから1回2錠、1日4回の服用が可能となっています。

 

また服用タイミングについてですが、1日4回の服用となっており、食事を服用タイミングにしていると1回分服用が足りなくなります。また、服用間隔を4時間以上空ける必要があるので、朝食から昼食までの時間が4時間未満のときは、昼食時に服用できません。

 

タイミング

時間帯

朝食後

午前8時

昼食後

午後13時

夕食後

午後19時

就寝前

午前0時

 

なので、↑のように「就寝前」の服用タイミングを増やすとよいでしょう。また、↑では服用タイミングを「食事」にしていますが、食事間隔が4時間以上空かないときは無理に食後にこだわらず、時間をタイマーなどで測って4時間以上たってから服用することを心がけましょう。

 

食前・食後は関係ある?

 

原則としてトラムセットは「食後」の服用となっています。胃腸の副作用が強いので、食前に飲むと胃腸の症状が強く出てしまう恐れがあるからです。

 

ただし、1日4回の服用となっている部分がネックです。食後の3回については問題ありませんが、就寝前の1回については、お腹が空腹状態になっている場合があるからです。

 

就寝前に服用すると、起きるまでにある程度時間が空くので、基本的にはあまり気にせず服用しても大丈夫です。ただ、胃腸の副作用が強く出る場合は、就寝前にヨーグルトなどを飲んでからトラムセットを服用するようにしてもよいでしょう。

 

長期服用・投与はOK?

 

トラムセットは「神経痛」の治療に使われる特徴があるため、その分どうしても服用期間は長くなりがちです。なので「長期服用してもいいのか」と言うところは気になるところです。

 

結論からいうと、全く問題ないわけではありませんが、長期服用になるケースは多いです。実際、数年単位でトラムセットを服用し続けているケースもよく見られます。

 

1. 投与の継続
慢性疼痛患者において、本剤投与開始後4週間を経過してもなお期待する効果が得られない場合は、他の適切な治療への変更を検討すること。また、定期的に症状及び効果を確認し、投与の継続の必要性について検討すること。

 

添付文書には↑のように書かれており、4週間のトラムセットの投与で効果が得られない場合は、別の医薬品を試すことになっています。しかし、効果が認められて、なおかつ副作用がない、我慢できる程度であればそのまま投与を継続することもよくあるのです。

 

とはいえ、服用期間が長くなればなるほど、やめたときの離脱症状が強く出ることになります。そのため、痛みが無くなったからといって個人の判断でやめることはせず、減薬・断薬のタイミングについては医師としっかり相談をしてスケジュールを立てる必要があります。