トラムセットの併用禁忌・注意薬

 

医薬品に併用禁忌や注意薬はつきものですが、それはトラムセットでも同じことです。

 

ここでは、トラムセットの併用禁忌や注意薬をまとめるほか、市販されていたりなど広く利用されている医薬品との飲み合わせについて解説していきます。

 

目次

 

トラムセットの禁忌とは?

併用禁忌・注意薬を見る前に、「そもそもこういう人はトラムセットを服用できない」という禁忌事項をチェックしておきましょう。

 

禁忌事項は添付文書に書かれています。

 

  1. アルコール、睡眠剤、鎮痛剤、オピオイド鎮痛剤又は向精神薬による急性中毒患者
  2. モノアミン酸化酵素阻害剤を投与中の患者、又は投与中止後14日以内の患者
  3. 治療により十分な管理がされていないてんかん患者
  4. 消化性潰瘍のある患者
  5. 重篤な血液の異常のある患者
  6. 重篤な肝障害のある患者
  7. 重篤な腎障害のある患者
  8. 重篤な心機能不全のある患者
  9. アスピリン喘息(非ステロイド製剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者
  10. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
参考ページ:トラムセット添付文書

 

ここで特に注意したいポイントが3つあります。1つは、「消化性潰瘍のある患者」です。トラムセットには強い胃腸障害の副作用があり、胃潰瘍などができることもあるほどです。なので、すでに胃潰瘍などを持っている場合、トラムセットの服用はNGとなります。

 

2つめは肝臓・腎臓障害の部分となります。トラムセットは肝臓や腎臓を使って代謝・排泄する医薬品となります。そうなると、重度の肝臓・腎臓障害を持っている場合、トラムセットの代謝・排泄が遅くなり、血中濃度が高まりすぎる恐れがあります。その結果、さまざまなトラブルが考えられるのです。また、肝臓・腎臓の負担が重くなり、肝障害や腎障害が悪化することも懸念されます。

 

なので、健康診断で肝臓・腎臓の数値が不安定な場合は、トラムセットの服用は医師の診察をしっかり受けて決めるべきです。

 

最後の3つ目がアスピリン喘息についてです。アスピリン喘息とは、アスピリンやロキソニン、ボルタレンなどの解熱・鎮痛剤を服用することによって、喘息を起こしてしまう症状のことです。発症する確率は低いですが、喘息を持っている人の場合10%程度の確率で発症すると言われています。

 

実はこのアスピリン喘息は、アセトアミノフェンでも起こる可能性があるのです。一応、1回の服用を300mgとすれば発症リスクはかなり低くなるとされていますが、トラムセットには1錠あたり325mgのアセトアミノフェンが入っており、この安全ラインを超えてしまうことになります。そのため、アスピリン喘息にかかったことがある人は、トラムセットの服用はできません。

 

トラムセットの併用禁忌薬とは

 

トラムセットの併用禁忌薬は1種類のみとなっています。

 

モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤

 

モノアミン酸化酵素(MAO)は、モノアミン神経伝達物質の酸化を促進する酵素となります。日本で承認されているのは「エフピー(成分名:セレギリン)」のみです。MAOにはMAO-A、MAO-Bの2種類がありますが、エフピーはMAO-Bを阻害します。

 

MAO-Bを阻害すると、ドーパミンの酸化が邪魔されることになるので、ドーパミン量が増加することになります。パーキンソン病はドーパミン不足が原因とされているため、エフピーはパーキンソン病治療薬として使われています。

 

MAO阻害剤とトラムセットを併用すると、攻撃的行動、固縮、痙攣、昏睡、頭痛などの副作用が起こることがあるほか、セロトニン症候群(錯乱、発熱、発汗など)、さらには呼吸器系、循環器系の思い副作用がありえるため、禁忌となっています。

 

パーキンソン病でなければエフピーが処方されることはほぼありませんが、もし必要になったときはトラムセットを服用していることは必ず医師に伝えましょう。

 

トラムセットの併用注意薬とは

 

トラムセットの併用注意薬は結構数があるので、まず一覧で解説します。

 

分類 何の症状に利用するか 併用のリスク

オピオイド鎮痛剤
フェノチアジン系薬剤
催眠鎮静剤

鎮痛、抗うつ、不眠症など お互いの中枢神経抑制作用が増強された結果、けいれんや呼吸抑制が起こりやすくなる。

三環系抗うつ剤
SSRI
SNRI

抗うつ お互いの中枢神経抑制作用が増強された結果、けいれんや呼吸抑制が起こりやすくなる。
リネゾリド(ザイボックス) バンコマイシン耐性腸球菌など MAO阻害作用があるほか、セロトニン増加によるセロトニン症候群の恐れがある。

カルバマゼピン(テグレトール)
フェノバルビタール(フェノバール)
フェニトイン(ヒダントール)
プリミドン
リファンピシン(リファジン)
イソニアジド(イスコチン)

抗癇癪、抗てんかん、抗生物質、結核予防・治療

 

 

トラマドールの血中濃度低下や、アセトラミノフェン代謝物による肝障害などのリスクがある。
キニジン 抗不整脈 お互いの作用が増強する恐れがある。
ワルファリン(ワーファリン) 抗凝固薬 ワルファリンなどの作用を増強してしまう恐れがある。
オンダンセトロン(ゾフラン) 吐き気止め トラムセットの鎮痛作用を下げるおそれがある。

エチニルエストラ
ジオール

前立腺がん アセトアミノフェンの血中濃度が低下する

 

↑に挙げた医薬品は、トラムセットとの併用に慎重さが必要な「併用注意薬」です。

 

あまり利用する機会のない医薬品も混ざっているので、ここでは併用されやすい医薬品を中心に以下で解説します。

 

抗不安薬・睡眠薬(デパス、レキソタン、アモバン、マイスリーなど)

 

併用注意薬の一覧に「催眠鎮静剤」とありますが、これは抗不安薬や睡眠薬などの総称となります。

 

  1. ベンゾジアゼピン系
  2. シクロピロロン系
  3. バルビツール酸系
  4. チエノジアゼピン系
  5. 抗ヒスタミン薬

 

詳しく分けると↑のようになり、かんたんに言うと「服用すると眠気が出る」医薬品はたいてい併用注意ということです。

 

特によく利用されるのが「ベンゾジアゼピン系」の医薬品で、

 

デパス、メイラックス、ソラナックス、ワイパックス、ロヒプノール、レンドルミン、セパゾン、ユーロジン、ハルシオン など

 

↑はすべてベンゾジアゼピン系に分類されます。また、マイスリーやアモバン、ルネスタなどは非ベンゾジアゼピン系ですが、睡眠効果があるため同じく併用は慎重に行ったほうがいいでしょう。

 

これらの催眠鎮静剤は不安や睡眠障害などを治療するために使われますが、トラムセットにもセロトニン増加などの影響で眠気などの副作用があります。なので、併用するとお互いの中枢神経抑制作用が増強されることになり、眠気が過剰に起こる・集中力や注意力が落ちるなどの症状が出てくる恐れがあるのです。

 

また、さらに症状が重くなると、けいれんしやすくなったり、呼吸が浅くなるなどさらに進んだ状態になる可能性もあるため、安易な併用はNGとなっています。どちらかというと、抗不安薬・睡眠薬は服用量を抑えて併用していくケースが多いです。いずれにしても、医師の判断が必須で、自己判断での併用はやめましょう。

 

SSRIやSNRI、三環形抗うつ薬(パキシル、ジェイゾロフト、サインバルタなど)

 

SNRI トレドミン、イフェクサーなど
SSRI ルボックス、デプロメール、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロなど
三環形抗うつ薬 トフラニール、トリプタノール、ノリトレンなど

 

SSRIは「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」、SNRIは「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」となります。つまり、結果的には脳内のセロトニンやノルアドレナリンの量を増やす方向に働きます。三環形抗うつ薬についても同様です。

 

そして、トラムセットにもセロトニン・ノルアドレナリンを増やす作用があります。つまり、両者を併用すると効果が重なってしまうので、セロトニンやノルアドレナリンの量が過剰になってしまう恐れがあるのです。

 

例えばセロトニンが過剰になると、異常な眠気が出たり、吐き気、便秘・下痢といった消化器系の副作用が急激に悪化したりなどのリスクがあります。そのため併用注意の扱いとなっています。

 

厄介なのが、SSRI、SNRIは主に抗うつ薬として使われる一方、トラムセットは神経痛への利用となるため、うっかりして併用してしまいやすい点です。なので、精神科でSSRIなどを処方されているなら、神経痛の治療で別の科を受診したときに「SSRIを服用している」としっかり伝えることが必要です。

 

この薬との飲み合わせは?

 

トラムセットは神経痛治療薬なので、症状の治療の進み具合によっては1年以上の長期服用になることもあります。そのため、他の医薬品とトラムセットを併用することになるケースも意外と多いはずです。

 

ここでは、利用機会の多い医薬品をメインに、トラムセットを兵ようしてもいいかどうか、飲み合わせを解説していきます。

 

胃薬との併用(ムコスタ、ガスモチン、ガスターなど)

 

まず併用がOKかどうかについてですが、胃薬は全般的にトラムセットと併用注意には指定されていないので、併用することは問題ありません。

 

むしろトラムセットと胃薬はよく併用されると言ってもいいでしょう。トラムセットには強い紹介系の副作用があり、胃薬を処方してトラムセットの副作用の軽減を目指すことがあります。

 

>>トラムセット配合錠副作用【吐き気や眠気などの症状アリ】

 

よく併用されるのはムコスタ(成分名:レバミピド)などです。ムコスタは胃の粘膜を丈夫にして胃酸から胃壁を守る作用があるので、トラムセットとの相性はいいです。他にも、ガスターなどは胃酸を抑制するため、胃潰瘍などのリスクを引き下げることができます。

 

とはいえ、胃薬と言ってもいろいろな種類があり、どれでも効果があるわけではありません。トラムセットの服用によって吐き気などの消化器系症状が出た場合も、自分の判断でいい加減に胃薬を選ぶのではなく、医師に診てもらって最適な胃薬を処方してもらったほうがよいでしょう。

 

風邪薬との併用(パブロン、ルルなど)

 

トラムセットと風邪薬の併用は、比較的注意が必要な組み合わせとなります。

 

  1. アセトアミノフェン
  2. NSAIDs(ロキソニン、イブプロフェンなど)

 

というのも、風邪薬の解熱成分として、↑の成分がよく使われるからです。アセトアミノフェンはトラムセットにも入っており、アセトアミノフェン入りの風邪薬を服用するとアセトアミノフェンの摂りすぎとなってしまいます。

 

アセトアミノフェンは肝臓で代謝する医薬品なので、肝臓への負担がどうしても出てきます。トラムセットを長期服用していると、それだけ肝臓負担が積み重なるわけですから、アセトアミノフェン入りの風邪薬を服用すると負担が大きくなりすぎる恐れがあるのです。

 

もし風邪を引いて市販薬を服用したいときは、まず成分一覧を見て「アセトアミノフェン」と書いていないものを選ぶことが大切です。その上で、どうしても熱が上がってつらいという場合は、ロキソニン、アスピリン、イブプロフェンといった解熱成分が入ったものを選ぶとよいでしょう。

 

逆に言えば、トラムセットを服用していれば、自然とアセトアミノフェンも服用できていることになるので、別に解熱成分を服用する必要はないとも言えます。医師に伝えれば、咳や鼻水などの「発熱以外の症状」を抑える医薬品を選んで処方してもらえるはずなので、相談してみましょう。

 

花粉症治療薬との併用(アレグラ、アレロックなど)

 

花粉症は国民病とも言われ、たくさんの患者がいます。なので、トラムセット服用中にアレグラやアレロックなどの抗アレルギー薬を服用したいという人も多いでしょう。

 

厳密に言うと、花粉症治療薬は「抗ヒスタミン薬」となり、眠気が出やすいのでトラムセットとは注意して併用する必要があります。ただ、アレグラなどの「第二世代抗ヒスタミン薬」であれば、眠気が出にくいのでトラムセットとの併用はそれほど問題ないでしょう。

 

注意するとすれば、花粉症治療薬の「消化器系の副作用」です。トラムセットには吐き気などの強い消化器副作用がありますが、花粉症治療薬の副作用と重なってしまうと、かなりつらい消化器症状が出ることが予想されます。なので、事前に「両方ともに消化器系の副作用がある」ということは知っておいたほうがよいでしょう。

 

ピル(トリキュラーなど)

 

女性の場合、事情によってトリキュラーなどのピルを服用しているケースもあるでしょう。

 

トラムセットとの関係は別に「併用注意」ではないので、併用自体の問題はありません。併用によってピルの効果が落ちることも考えにくいです。

 

ただ、トラムセットとピルはお互い「消化器系の副作用」をもっているため、症状が重複する恐れはあります。花粉症治療薬の場合と同じく、症状が重なってしまうリスクがあることは覚えておきましょう。

 

トラムセットの併用禁忌・注意薬まとめ

 

まず必ず覚えるべきなのは「トラムセットとMAO阻害薬は併用禁忌」ということです。これだけは知っておいて、パーキンソン病の治療時などは必ずトラムセット服用を伝えるようにしましょう。

 

その他に注意しておきたいのは、

 

  1. 抗不安薬・睡眠薬
  2. SSRI・SNRI・三環形抗うつ薬

 

↑の医薬品とトラムセットが併用注意となる点です。併用が禁止されているわけではありませんが、眠気が出やすくなったり、けいれん・呼吸困難などのリスクがあることは覚えておきましょう。